食の安全とは?
平成27年4月17−19日にかけて大阪で開催された日本小児科学会に参加してきました。
色々、先進的な話があった中で、鉄板の話題とも言える食の安全に関するシンポジウムがありました。
非常に興味深かったのは、国立医薬品食品衛生研究素案全情報部の畝山智香子先生の講演でした。
私達の多くは、食物を選ぶとき農薬や放射能汚染ということを何より心配しますが、一般的に市場に出回っている食物は国の安全基準を満たす必要があり、例えば残留農薬は◯☓ppm以下でなければならない。と言った具合です。
これは、基本的に長期的に摂取し続けたとしても人体に有害事象を生じないレベルで規定されているわけです。
言い換えれば、食の安全=リスク(=危害要因(ハザード ※)☓曝露量)が許容できる程度に低い状態を言い、リスクを管理するということは要するに曝露量を調整する。ということになるのだそうです。
例えば、ジャガイモにはソラニンという有害物質が含まれていることはよく知られており、ジャガイモの皮や芽を食べてはいけないことは常識です。また、私たち日本人の主食であるコメにはカドミウムが含まれています。これらは、土壌汚染とか言うことではなく、元々、天然汚染物質としてコメに存在しているものだということなのです。
つまり、無農薬米だからと言ってコメを多量に摂取したとすると知らずしらずのうちにカドミウムもその分摂取していることになるわけです(もっとも、糖質の過量摂取という問題のほうが大きいですが)。
ですから、欧米諸国に比べると日本の安全基準ではカドミウムの摂取許容量は高めに設定されています。
すなわち、リスクの高い順に並べると
効能が謳われている健康食品>一般的な健康食品>一般食品>食品添加物>残留農薬
ということになるのだそうです。
なぜなら、健康食品などは長期間にわたり多量に摂りやすく、曝露量が大きくなる傾向にあるからです。
とは言っても、心情的に食品添加物や残留農薬にたいして全く不安を持たずにいることは難しいと思います。しかし、現代社会では それらを全く含まないもので食を構成するということは、まず不可能な状況であると言わざるを得ません。
では、どうするか? リスク分散のためには「多様な食品からなるバランスのとれた食物を摂る」これしかない。と言うことでした。
当たり前といえる結論ですが、一方で、食の安全を脅かす偽装事件が繰り返されている現状から子どもたちを守るには、できるだけ出来合いのものやインスタント食品の使用は控え、完全無害である愛情という添加物がたくさん入った食物を摂らせていくしかないということですね。
※健康に悪影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物 質又は食品の状態
参考:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/sop/pdf/sop_241016.pdf